オンラインで遊べる「ぴこピコ☆らぶタッチ トレーナー」の経緯と工夫

Maker Faireへゲーム機を持っていきたいけど濃厚接触しやすいものをコロナ禍で展示するのはさすがに・・・ということで、オンラインで遊べるようにした「ぴこピコ☆らぶタッチ トレーナー」について改めてご紹介します。


5月1日に公開した正式版によってよりプレイしやすくアップデートされたほか、スマートフォンやタブレットによるタッチ操作でも(一応)動くようになりました。ぜひお試しください!

ぴこピコ☆らぶタッチ トレーナー
https://makers.scnet.co.jp/pplt/

いつから作っていたの?

着手したのは2021年2月ごろからです。2人で遊べる相性診断ゲーム機「ぴこピコ☆らぶタッチ」で使われていたディスプレイ用ソフトウェアをアレンジして作ったものなので、このオリジナル部分も含めるともう少し過去に遡ります。

「ぴこピコ☆らぶタッチ」は当初パネルだけで遊べるゲーム機として生まれましたが、より楽しく遊べるように第3世代からディスプレイを使うようになりました。タッチパネルを叩くとカメラで撮影したプレイヤーの映像をディスプレイ内に表示する演出は第3世代リリース時から現在に至るまでご好評いただいています。

2018年夏に初公開した第3世代。この当時の画面用ソフトウェアは Processing で開発。
開発用パソコンの画面に合わせて作っていたため、大型スクリーンでは余白が少々ひどいことに。

ディスプレイを用いた演出は展示会ごとに都度アレンジしており、例えばBitSummit 7 Spirits展示時はブースの後ろを通るご来場者にも画面が見えるようにデュアルディスプレイ化したバージョンへ、Yahoo! JAPAN HackDay 2019展示時はブースの白いテントへプロジェクションマッピングするバージョンを作って会場へお持ちしました。

今回の「ぴこピコ☆らぶタッチ トレーナー」はUnityというツールで開発したYahoo! JAPAN HackDay 2019 向けバージョンをオリジナルとしてアレンジしたものです。

どうして作ったの?

2020年度から新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっており、メイカーフェアなどの展示会へ作品を出展することが難しくなりました。作ったものをご来場者へ触れていただくことができないという問題に対し、私たちは何らかで対策する必要に迫られてゆきます。

対策の一つはタッチパネルそのものを改良する発想です。詳しくは下記記事をご参照ください。

https://makers.scnet.co.jp/archives/3087

もうひとつの対策は、ゲーム機用のソフトウェアだけを独立させてタッチパネルがなくとも遊べるようにすることです。

実は「ぴこピコ☆らぶタッチ」のディスプレイ用ソフトウェアはデバッグ用にパソコン用キーボードでもある程度テストプレイできるようにもともと作っており、この機能を活かせばコロナ禍向けの派生作品ができるのではないかと考えました。

そうして生まれた今回の「ぴこピコ☆らぶタッチ トレーナー」は自作タッチパネルを使わずにウェブブラウザを通じてオンラインで遊べるようにした最初の作品です。パソコンだけで完結してしまうためメイカーらしさは減りますが、ステイホームしていてもオンラインでゲームに触れていただけるようにすることを目指しました。

公開した当時の「ぴこピコ☆らぶタッチ トレーナー(β)」左上に表示されたプレイ人数は延べ人数。
人数には開発者によるテストプレイも含まれており、お客様が何人プレイされているのかは実はわからない。

作る上で苦労・工夫したところは?

パソコン用キーボードに注目したのはよかったものの、光る4つのパネルを同時に押す必要がある「ぴこピコ☆らぶタッチ」のゲームルールとは少し相性が悪く、パソコン用キーボードは物によってキーを4つ同時に押さえても反応しないものがあります。

しかしこのゲームのためだけにキーボードを買い替えてください!・・・とプレイヤーへお願いするのはやや無茶な話ですよね。

そこで今回は再びゲーム機本体で遊べる日に備えて自宅で練習できる1人プレイ用のゲームと割り切って、最大2箇所のキーをタッチすれば遊べるように再構成する方向へアレンジすることにしました。2箇所までであれば、WindowsでいうCtrlキーを押しながら行うコピー&ペースト操作のように、ほとんどのパソコン用キーボードで問題なくプレイできると考えています。

β版の画面。コンピューターと一緒に「ぴこピコ☆らぶタッチ」をプレイできるようになった

ぴこピコ☆らぶタッチ トレーナー」において特徴的なのは、押せるキーは最大2箇所までという制約を課すにあたって、ゲーム本来の面白さをなるべく損なわないようにするため、光る4つのパネルのうち2箇所をコンピューターに自動タッチしてもらうルールを新たに採用したことです。

このルールは、本物の「ぴこピコ☆らぶタッチ」をプレイしてくださったこれまでのプレーヤーさんがお互いにどのパネルを触りに行くか2人で空気を読み合っていた様子をヒントに、それをオンラインでも疑似体験できるようにすることを狙って導入しました。

最近の更新で何か変わった?

4月1日にβ版を公開し、本日5月1日から正式版に差し替えました。

β版では「一人でプレイしているときに表示される自分の映像が恥ずかしい」と社内でやや不評が聞こえましたので、正式版ではそもそもカメラを使わないように変更し、その分タッチパネルが画面内へ大きく映るように調整しています。

また「キーボードのどのキーを叩けばゲームが進行するのか直感的にわかりにくい」という課題に対して、画面に映っているパネルへ直接キーの名前を表示するという手段で解決を図りました。

各パネルに対応するキーを直接表示したことで、取扱説明書を見なくても操作しやすくなった

さらにスマートフォンやタブレットではプレイできないという課題に対しても、暫定的ではありますがタッチ操作に反応するように再アレンジすることで対応しました。(正式な動作環境ではないのでお使いの環境によってはうまく動かないかもしれません)

まとめ

2021年2月ごろ作り始めた「ぴこピコ☆らぶタッチ トレーナー」ですが、もともとデバッグ用に用意していた機能を活かすことによって、Maker Faire Kyoto 2021に間に合うタイミングで公開することができました。改良の余地はまだ十分ありますが、こうして公開できたことには満足しています。

しかしこの「ぴこピコ☆らぶタッチ」というゲーム自体は2人でプレイした方がやはり面白く、展示ブースにてスタッフと一緒に掛け合いながら遊ぶ方が盛り上がるように作られている点は否めません。

次回どこかで展示する際には本物のゲーム機でお楽しみいただけるように我々も今できることへ取り組んでゆきますので、「ぴこピコ☆らぶタッチ トレーナー」で腕を磨いていただきつつ、引き続きぜひSC-MAKERS!並びに弊社を応援していただければ幸いです。