オンラインで遊べるクイズゲームシステムの制作事例(新入社員研修課題)
SC-MAKERS!作品「クイズゲームシステム」のレポートです。Zoomミーティングをしながらクイズ大会ができるシステムと、専用の回答者用端末を2021年度の弊社新入社員研修で制作した事例について紹介します。
経緯
ビデオ会議の課題をシステムで解決したい
新型コロナウイルス感染症の拡がりにより、Zoomなどを用いたビデオ会議の機会が増えてきました。
少人数での会話、1対多での講演といったユースケースでは十分Zoomで対応できますが、大人数で多数決を行う場合にはZoomの標準機能(チャットやリアクション)だけで素早く集計しづらく全体像をつかみづらいという課題があります。
そうした課題を解決するための手段のひとつとして、Zoomと併用して使う多数決支援システムをSC-MAKERS!で提案しました。
類似するシステムの先行事例
大人数で多数決を行うためのシステムといえば、双方向型テレビ番組で用いられるリモコンの4色ボタンが先行事例のひとつとして挙げられます。
リモコンにある青赤緑黄のいずれかのボタンを番組の指示に沿って押せば、番組内で行われているアンケートやクイズへ視聴者もリアルタイムに参加できる仕組みです。
このリモコンはテレビ番組用の専用端末ですが、もしZoomミーティングなどのビデオ会議で使えるものがあれば多数決に役立ちそうです。
クイズ大会できるシステムを題材に
今回は具体的なユースケースとしてクイズ大会を挙げ「クイズゲームシステム」という仮称で多数決支援システムを開発することにしました。
多岐選択式のクイズ大会を円滑に進めるためには通常、参加者の回答を素早く表示・集計する機能が必要ですので、多数決を行う場合と同様の課題に向き合うことになります。
また弊社社員の多くが受験している情報処理技術者試験は午前試験がいわば多岐選択式のクイズではないかという発想から、弊社にとってクイズ大会という題材はうってつけだと考えました。
クイズゲームシステムの概要
ここではZoomで行うクイズ大会の進行を整理しながら、どのようなシステムを作ることにしたのかを説明します。
Zoomで行うクイズ大会の進行
Zoomミーティングの参加者を出題者役と回答者役に何らかの方法(事前の指名・くじびきなど)で分け、次のシーケンス図のような相互作用でクイズ大会を進行します。
音声によるコミュニケーションはZoomにて行い、回答者は専用の端末を使って出題者へ回答データを送信します。
回答一覧を出題者が画面共有する
回答者の送った回答データは出題者側の専用クライアントソフトウェアに一覧表示します。出題者はその一覧画面をZoomにて画面共有すれば、参加者全員で同じ画面を見ながらクイズ大会を楽しむことができるようになります。
システムの完成イメージ
クイズゲームシステムを利用する回答者の手元は、次の図のような状態となります。
一覧画面が共有されたZoomミーティングを見ながら、回答者端末を操作してクイズ大会へ参加します。
今回は回答者端末をM5Stackで実装します。
SC-MAKERS!と研修課題
弊社の新入社員研修では近年C言語を主に学びます。C言語で取り組むことができる課題のニーズは社内で常に存在しており、SC-MAKERS!では過去にもArduinoやM5Stackを用いたぴこピコ☆らぶタッチ関連ソフトウェア開発の研修課題を提案してきました。
回答者端末の制作課題
今回のクイズゲームシステムを開発するにあたっても、回答者端末の部分を弊社新入社員研修の課題として社内で採用いただきました。
詳細な仕様については本稿では割愛しますが、課題としてあまり複雑になりすぎないように、M5Stackに備わっている3つのプッシュスイッチを活かし3択クイズに特化した仕様としてまとめたのが今回の大きな特徴です。
下図は、実際に開発されたソフトウェアをM5Stackへインストールした様子です。
実際にクイズ大会を行ってみた
研修成果発表を兼ねた社内クイズ大会をリアル+オンラインのハイブリッド会場で開催いただきました。参加者は25名。実際に開発された回答者端末も用いられています。
Zoomで画面共有された回答一覧を見れば誰がどの回答を送信したのか一目でわかるため、3択クイズはとてもスムースに進行しました。
また、クイズではなく3択アンケートというアレンジ進行も行われました。参加者それぞれ何を思っているのか可視化されるため、集まった回答をきっかけとして会話が広がってゆく様子がみられました。
まとめ
ビデオ会議では大人数での多数決が難しいという課題を解決するために、多岐選択式のクイズ大会ができるクイズゲームシステムを開発しました。実際に行ったクイズ大会では、Zoomの標準機能だけでは難しかったコミュニケーションをハイブリッド開催の会場にて楽しく行うことができました。
また、クイズゲームシステムで使う回答者端末は新入社員研修の課題となりました。開発してくださった弊社新入社員の皆さんにとっては、研修期間中に学んだC言語で取り組む応用課題として関連性の見える活動だったのではないかと考えています。
SC-MAKERS!ではものづくり活動で学んだことを社内研修を通じて還元し、間接的にお客様にも貢献しています。