ゲーム結果のNFT化になぜ取り組んでいるか

Maker Faire Tokyo 2022でプレイいただいた「ぴこピコ☆らぶタッチ」のゲーム結果はPolygonというパブリックブロックチェーン上でNFT(Non-Fungible Token/非代替性トークン)化されており、下記OpenSeaのページでどなたでも参照することができます。

このように「ぴこピコ☆らぶタッチ」のゲーム結果をNFT化する機能になぜ今年取り組み始めたのか、背景についてご紹介します。(ブロックチェーンやNFTに関する一般的な説明は割愛しています。)


(忙しい方のための要約)

  • ぴこピコ☆らぶタッチ」のゲーム結果印刷機能は好評だがコロナ禍によってリアル展示しづらくなった
  • そこでメタバースでの展示を検討しはじめたが、メタバース上では紙を印刷できない問題あり
  • 紙の代わりになるものとしてNFTに注目しており、将来のメタバース展示に備え現在開発中

もしメタバースで展示したとき、どうやってお土産のレシートを渡す?

「ぴこピコ☆らぶタッチ」で使用しているレシート印刷機

2人で遊べる相性診断ゲーム機「ぴこピコ☆らぶタッチ」には、ゲームプレイ後に相性診断結果を紙のレシートに印刷する機能があり、プレイヤーの皆様へのお土産としてこれまでの展示会でご好評をいただいています。

コロナ禍で展示機会がほとんど無くなったとき、新たな展示機会を求めて「ぴこピコ☆らぶタッチ」をインターネット上の仮想空間、いわゆるメタバース上で非接触展示できるようにできないかという検討も始まりました。

しかしメタバース上では紙に印刷できません。代わりにそれらしい画像を表示したり3Dの物体を生成したりできるとしても、それは果たしてプレイヤーにとってお土産になるのでしょうか。

紙のレシートのような表示が出てくる「ぴこピコ☆らぶタッチ トレーナー

リアル展示でお渡ししている紙のレシートには、あの日あの時たしかにゲームをプレイしたという思い出が含まれており、そこにお土産としての価値があります。

多くの場合、メタバース上に表示される画像・物体はメタバースの運営者が実質的に管理する電子データでしょうから、メタバースのシステムに重大な障害が起こったり、メタバースそのものがサービス終了したら消えてしまうかもしれません。

メタバース上で同様の体験をプレイヤーに感じていただくには、紙のレシートに似せた画像・物体をただ出すだけでは問題があると考えました。

NFTであればメタバースでもお渡しできるかもしれない

NFTはブロックチェーン上に記録されるデータの一種

前述の問題を解決するためにはメタバース上で「ぴこピコ☆らぶタッチ」をプレイいただいたとき、たしかにゲームをプレイしたという事実をメタバースの外側に記録する手段を併用しなければなりません。

そのために今回注目した解決策のひとつがNFTでした。

特定のメタバースに依存せず公開されたパブリックブロックチェーン上で「ぴこピコ☆らぶタッチ」のプレイ完了と同時にそのゲーム結果を含むNFTを発行すれば、あの日あの時たしかにメタバース上でゲームをプレイしたという思い出をたしかに残せるだろうという発想です。

この場合メタバース上ではNFTを発行したことを紙以外の手段でプレイヤーへお伝えする必要がありますが、お伝えするための演出としてならば、レシートのような画像・物体をメタバース上に出す意味があるでしょう。

MFT2022時のプレイ結果で発行されたNFTのデータの例(OpenSeaでの表示)

ゲーム結果の記録先として弊社が運営するデータベース等ではなく、パブリックブロックチェーン上のNFTを選択すべきのはなぜでしょうか。理由は主に2つあります。

1つ目の理由は、万一データベースに重大な障害があったときや弊社がデータベースの運営を終了してしまったときに、データが消えてしまう恐れがあるためです。

ブロックチェーン上のNFTであれば永遠に消えないということはありませんが、一般にブロックチェーンのデータはブロックチェーンを構成する多くのコンピューターに複製されているため、少なくとも弊社単独で運営するデータベースよりは長生きしやすいと考えられます。

2つ目の理由は、NFTには一般に、ブロックチェーン上の操作で他の所有者(アカウント)へ譲渡できるという特徴があるためです。

つまり、リアル会場での展示に似せて、メタバース上で「ぴこピコ☆らぶタッチ」が発行したNFTをその場でプレイヤーへお渡しするという体験を実現できる可能性があります。

NFTを譲渡するにはプレイヤーがブロックチェーン上のアカウントを所有していることなど前提がいくつかありますが、紙のレシートをお渡しするのと同様の体験をメタバース上でもご提供できるようになるかもしれません。

まとめ

本稿では今年開発しはじめた「ぴこピコ☆らぶタッチ」のNFT発行機能についてご紹介しました。Maker Faire Tokyo 2022 にて最新の成果をご覧いただきましたが、将来メタバース上で展示する場合に備え、より良いユーザー体験と安定した動作を求めて現在も開発中です。今後の展開に引き続きご注目いただければ幸いです。

もしNFT発行機能または「ぴこピコ☆らぶタッチ」にご関心のある方は、こちらのフォームからぜひお問い合わせください。